葬儀に参列するには香典という習慣が今も我が国の大半では残っています。この習慣はみんなでお葬式の費用をカンパして助け合うことが起源であるとされます。というのは今も昔もお葬式を行うには何百万円という多額の出費が要求されます。この場合、お葬式のプラン自体の金額は数十万円程度なのですが、実際には火葬場やお寺さんの利用料、他に参列される方々へのお料理や返礼品の品物なども加算して要求され、参加する人数次第ではプランの費用よりもはるかに圧倒してしまいます。
この突然の多額の100万円を超える経費は、故人を失った悲しさの上にさらに重なります。これを払えるのはもちろんそれ相応の貯金ができている、ある意味では富裕な方しか実現できません。家計の状態が悪くて全額払えない貯蓄の少ない人にとっては、葬式すらできず、ご遺族自身も死んでくれと宣告されるような状態となります。そのためこの窮地を打開するための1つの解決案として、この習慣が編み出されて今もその習慣が根強く残っています。
これによりご遺族たちは窮地に襲われることなく、何とかお葬式を続行できる可能性をもたらします。ただしこれは寄付金ではなく、借入金の性格であることを理解しないとなりません。というのは香典としてお金を出してくれた方にも家族がいます。その家族の誰かが後年死亡した場合は、そのご遺族たちは同じ状況に陥ります。今度はそのご遺族たちの窮地を救うため、自分たちが何千円または何万円を払って借りた分を相殺することになります。ただこの習慣も現在では一部で変化が生じてきています。というのは余計な人間関係や金銭関係を嫌って、ご遺族が最初から受け付けない事例が増えてきています。また今はグローバルな時代なのでご遺族たちが別の遠方で暮らしている場合が増えています。そうなると誰かが死んだとしても遠すぎてお葬式に行けない、香典を渡せない返せないなんてことが生じるからです。この場合は素直にその意見に従うしかありません。